岸壁に係留された建築
横浜・屏風浦は、地名の通り、屏風のような崖をもつ。敷地は、南と北の擁壁に挟まれたわずかに平らな場所。敷地へのアプローチは、北側擁壁と敷地の間、ひと一人が通れる道。敷地に通いながら、岸壁に留まる船に乗るような気持ちと重なる。建物を船と考える事で、設計という複雑なプログラムが、気持ち良く解決していく。
厳しいアプローチにより、クレーンなどの建設重機による作業ができない。人力による構造材の組み立てから、軽量化を考え、部材は短く細く、短スパンによる構造計画となる。短スパンにより生まれた室内の中間にある丸柱は、船のマストとなり、全体を覆うゆるい曲面天井は、合理的なヨットの天井と重なる。外観は白く、ウッドデッキと白いタープという帆をもつ。