南面に道路を持つ30坪の敷地。
南面が開かれている土地は、設計が意外と難しい。
太陽の恵みがたっぷりとある。
その事だけを頼りにつくると建て売りみたいな家に・・・。
設計の仕方を忘れてしまうほど。
南面に道路を持つという事は、欲しくない条件も併せ持つ。
今回の場合は、電線。
電気や電話、そして複数のケーブルが、
2階の目の高さに、飛び込んで来る。
せっかく、葉山に住みたいと思い、
家づくりをしているのに、緑の山の前には、無数の電線だ。
山を楽しみながら、暮らしたい。
そんな思いをあきらめたくない。
西側の隣家の屋根の向こうに、照葉樹林の手つかずの山がある。
その山を頼りに、気持ちのベクトルを南から西に置き換えてみた。
クライアントの家づくりメモの中に、
1人でも、大勢でも楽しめる家という希望があった。
小さな居心地と大きな居心地に置き換えた。
小さな居心地は、段差や柱で小さな場所をつくり、
大きな居心地は、西の山へ向かう一枚天井で小さな場所をつなぎ、
一つ屋根の下としてつくった。
「住宅の骨格」を伝える方法として、模型をつくる。
今回の「葉山の住宅」の骨格模型をつくるのに手こずった。
考え方が、平面から断面に、立体的になって来ている。