敷地は、南アルプスの西斜面、天竜川を挟んで中央アルプスの峰々と向き合う山の中。そんな場所に普段の暮らしを楽しむ若い家族の家の計画。大自然の中に小さな家。大海原に小舟のようだ。小さくても自然を存分に楽しみタフな家をつくりたいと思う。自然に向き合うにはあれこれ欲は出さず、シンプルに庇を出す素直な形態が良いと思った。室内は構造となる柱、梁を表し、見て触れることで強さを安心感につながると考えた。
外観は、風景に溶け込む、無理のない形態として、山の斜面を意識した屋根形状とした。プランは、山に覆われて限られ大切な南からの恵ある陽射し、西側にある中央アルプスの景色を楽しむことを軸に、歳を重ねても1階での暮らしができるように組み立てた。実家との行き来を意識して玄関前に大きな縁側を設けた。
クライアントの父達は、物づくりの達人。外構の石積みから始まり、オリジナルの家具や手作りの薪ストーブと工事に参加していただいた。背後には大きな桜の木があり一年を通して大自然を楽しむ小さな家である。