緑豊かな谷あいに建つ築50年の和風住宅。造園家の若い家族が、この古き良さを活かしながら自分達らしい暮らしを楽しむためのリノベーション。古さから構造、設備、断熱、遮熱を意識しながら計画が始まる。構造はフラット35リノベ耐震評価基準をもとに整えることができた。設備は老朽化のために水回り全てを刷新する。既存の床・壁・天井には断熱材が入っていないため、室内改修工事の範囲で新たに設ける。断熱・遮熱の弱点となる開口部、この家のほとんどがアルミサッシ+内障子となっていたので、断熱・遮熱効果を期待して、このまま生かすこととした。建物の性能を整えながら、新しい暮らしを支える建築空間を考える。オリジナルプランは、食堂、台所が北側の閉じた場所となっている。南側の居間となる空間とおおらかに繋ぎたい。その居間となる空間は、和の空間。既存建築をリスペクトして、うまく馴染むように繋ぐことが僕の仕事であった。天井材を注意深く検討し、和の空間の輪郭を意識できる柱を残すことで、何事もなかったような新しい場所となって、うまく繋ぐことが出来たと思う。外構は、造園家のご主人にバトンを渡し、これからコツコツとつくり込んでいく。古いものを活かし新しいものへと繋がるような仕事が、大切な時代になるような気がする。
フラット35リノベ・Bプラン対応物件